十五の妄影(もうえい)
「色々手間かけさせちゃってごめんね、母さん」

震える声を何とか抑えようとする。

その度に、背後の妄影の不安定な挙動にも拍車がかかった。

おさまらない。

安定しない。

乱れる。

荒れる。

まるで僕の心中そのもののように。

「そんなに煩わしい思いさせてるなんて知らなかったよ…僕がいるから母さんに迷惑かけちゃうんだね」

妄影の体がザワザワと動く。

まるで興奮した猫が背中の毛を逆立てるように。

妄影の体表が総毛立つ。

「そんなに僕の面倒見るのが煩わしいならさぁ…」

妄影の変貌が映し出した通り。

「消えちゃってよ、母さん!!」

僕の感情は遂に爆発した。

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