十五の妄影(もうえい)
「こら!貴方達!」

教室に声が響く。

たまたま廊下を歩いていた担任教師が、囲まれている僕の姿を見とめて何事かと入ってきたのだ。

中年の女性教師。

言う事は正しいのだけど、口の達者な最近の高校生には言いくるめられる事も多く、頼りにはならない。

「石田君を囲んで何してるの!いじめてるの?」

僕を庇うように男子生徒達を押し退ける担任。

しかし。

「やだなぁ、先生」

生徒の一人が僕と肩を組んだ。

「俺達、晋作君と楽しく話してたんですよ」

「そうですよ!」

もう一人、僕と肩を組む男子生徒。

「な?晋作君」

僕に同意を求める…その背後の死角で、別の生徒が背中に膝蹴りを入れていた。

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