十五の妄影(もうえい)
やっとの思いで石田家の玄関先に到着。

少し呼吸を整え、乱れた髪も整え、インターホンを鳴らす。

ややあって。

「はい」

インターホン越しに声が聞こえる。

晋作君の声だ。

「あ、晋作君?私、佐奈です。遅れてしまってごめんね」

恐縮しながら言う。

また少しして、ドアの向こうにパタパタと足音。

そしてドアが開き。

「いらっしゃい、佐奈さん」

控えめな表情の晋作君が顔を覗かせた。

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