『舞桜』
しかしその目はすぐに疑いの目に変わる。
「はっ。どうだか。
所詮は貧乏人だ。
知ってるか?貧乏人は臭せぇんだ。
今のお前みたいにな。イライラする。」
「どうぞお構いなく。」
桜花にもそれは分かっていた。
今桜花のつけている香水はスパイシー系のカルバンクラインという香水。
更に血の匂いを隠すために普通の量よりも多く使っている。
なので臭いといわれても仕方が無かった。
言い返した桜花が面白くなかったのか、雫は桜花を睨むと、さっさと歩いていってしまう。
「此処が理事棟。ほかの階にはいろいろな施設がある。
あれが中学棟A。中一の教室と中学専用家庭科室がある。
あれが中学棟B。中二の教室と中学専用コンピューター室。
あれが中学棟C。中三の教室とそのほかの特別教室がある。
此処が食堂。
このでかい建物が高校棟。
こっちが高校専用特別教室。
その一つ向こうの建物が生徒会棟。
一番奥が寮だ。」
雫は早口で説明する。
つまりは
■中学寮 ■高校寮
■生徒会棟
■高校専用特別教室
■高校棟
■食堂
■中学棟A
■中学棟B
■中学棟C
■理事棟
と言うわけである。
桜花が理事長に暗記をさせられていなかったら、間違いなく覚えられなかっただろう。
優しいのか、桜花に対する嫌がらせなのか、よく分からない。
否、考える必要も無かった。
これは完全なる嫌がらせだ。