『舞桜』

「おれは担任の椎名だ。
国語科を担当してる。

れっきとした教師だ」


国語って似合わなすぎ。

だって見るからにホストだし。教師かどうかも怪しいし。

でも権力があるならご機嫌とりをしとくべきだ。


「ホストみたいにお綺麗な方だということですよ」


「はッ。どーだかな。お前みたいのは少なくねぇ。

最初は見下すくせに名前聞いた瞬間ころっといい顔しやがる」


なんとなくこの人の性格が分かってきた。

権力振りかざすくせに権力に簡単に跪く人間は嫌いというある意味我侭ぼっちゃん。


それさえ分かれば駒にはしやすい。


「あなたはどっちがいいの?」


「あ?」


「思ったことをそのまま言ってほしいのか、
それとも、一人の教師としてある程度の敬意を払った態度をとってほしいのか。」


ほら、


「お前、気に入った」


ね?


「権力に抵抗するのは慣れてますから。

例えば、志賀君に皿を投げつけるとか。」







ん?隣から何の反応もなくなってしまった。

しかも話すつもりもなかったことまで話しちゃったし。



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