Je t'aime?




「おーい、怜奈!」



呼ばれて振り返ると、ガミくんが小走りで追いかけて来るところだった。



「なぁに?」



火曜日の昼休み、祐太に電話しようと思って教室を出た直後だった。



「あれ、紗江子は?」



私と並んで歩きながら、辺りを見回している。



「紗江子なら、売店に行ったよ」



正しく言えば、売店横の自販機に行ったのだけど。



「あ、そう」



ガミくんは、残念そうだった。



…まったく、いつまで中途半端な関係でいるつもりなのか。



ふたりともなにも言わないけど、私はちゃんと気づいていた。



「あ、そう」なんてさりげなく言ったつもりでも、その表情には「なぁんだ」って書いてある。



ウジェーヌが倒れた日だって、そう。



ガミくんは、家に電話すると言ってカフェを出た。



でもそれを口実にして、紗江子を追いかけて薬局に一緒に行ったこと。



私は、ちゃんと気づいてるんだから。




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