Je t'aime?
「あんなに不機嫌な声を聞いたの、初めてかも」
『不機嫌っていうかね、びっくりしたんだと思うよ。意味わかんないこと言われて』
…それもあるかも…。
「あのときは私も焦ってて、とにかくなんとかしなきゃってパニくってたんだよね」
『それにしたって、なんで俺が見ず知らずのフランス人のお別れ会に行かねばならんのよ、って思ったんじゃない?』
「ふふ、似てないし」
紗江子の言い方がおかしくて、ちょっと笑うと、
『だって別にモノマネしてないし』
と紗江子も言い返してきた。
少しずつ、ふたりのリズムが戻ってくる。
それは、私に安心感を与えてくれた。