Je t'aime?




金曜日。



その後は何事もなく、あっという間に、その日はやってきた。



明日からは、長い長い夏休み。



体育館に集まった生徒たちの表情は、始業式のときとはまた違う期待に満ちていた。



終業式が始まってしばらくすると、壇上にウジェーヌが現れた。



『えー、彼のことは知っている人も多いと思います。この三週間、いろんなクラスをまわってフランスについて教えてくれましたね』



舞台の中央で、校長先生がウジェーヌを紹介している。



その隣に立つウジェーヌは、なんだか恥ずかしそうだ。



『そのウジェーヌ・ヴィカーくんの我が校での生活も、今日で終わりということで、挨拶をしてもらいたいと思います』



笑顔で場を譲る校長先生に軽く会釈をして、ウジェーヌがマイクの前に立った。



『…みなさん、こんにちは。ウジェーヌ・ヴィカーです。ぼくは今日、この高校での勉強を終えることになりました―…』



ウジェーヌは、全校生徒を前にして、感謝の気持ちを堂々と述べた。



『すばらしい仲間に出会えたことが、いちばんの思い出です』



と言ったとき、私は目頭が熱くなった。




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