Je t'aime?
解散になると、私はまず、ウジェーヌのもとへ向かった。
すでに彼の周りは、別れを惜しむ人でいっぱいだ。
だけど、そこらの男の子より頭ひとつ分背が高いウジェーヌは、私が手を振っているのをすぐに見つけてくれた。
ニコッと笑いながら、取り囲む人を分けて、私の前まで来てくれる。
私は、「分け」られた女の子たちの視線には気づかないフリをした。
「ウジェーヌ、今日は行けなくてごめんね。楽しんできて」
「いいよ、気にしない。レイナも、楽しんで」
そしてウジェーヌは、私の耳元に顔を近づけて、
「また明日」
と、私にだけ聞こえるように言った。
どうやら、夏休み中は日本にいることは、本当に内緒にしているらしい。
なんて内向的な留学生。
ていうか、ガミくんの差し金かな。
私は、今日いちばんの笑顔で頷いて、教室を後にした。