Je t'aime?
「ん~溶ける!」
ジュレは、口に入れた瞬間に果汁のように溶け広がって、あっという間に舌の奥へ消えてしまった。
「完熟の桃みたいにみずみずしいよ。ひとくち食べる?」
私は、心なしかさっきよりちょっと少なめに、ジュレをすくって祐太の口元へスプーンを近づけた。
パカッと開いた口にジュレを流し込むと、祐太は、
「冷たっ」
と言って、それでも、
「…うまいな」
と、気に入った様子だった。
ひとくち飲ませてもらったダージリンも、しっかりした香りでおいしかった。
「私、こういう時間って超~幸せ」
ゆったりした座席で楽しむティータイムは、祐太と付き合ってから初めて体験した。
紗江子たちとだったら、こんなオシャレな店は選択肢にも入らないだろう。
予算的にもファストフードが精一杯だし、高校生にはそれでじゅうぶんだと思う。
だから私はいつも、祐太といるときには、ちょっと大人な気分を味わえるのを密かな楽しみにしてたりして。
だけど今日は、そんな私の楽しみを―
祐太に、奪われてしまった。