Je t'aime?
私は百戦錬磨のオトナな女性には程遠いし、巧みな話術も持ち合わせていない。
だから、どうやって話せば波風立てずにいられるのか、まったく見当がつかなかった。
そもそも、波風立てずにおさめることが正解なのかも、わからない。
だから私は、
「…ウジェーヌに会うと…うれしいし、楽しい…」
と、蚊の鳴くような小さな声で、今の本音を正直に言うしかなかった。
「でも、祐太に会っても、同じ気持ちになるよ。嘘じゃないよ」
それも本音だけど、この状況では、どうしても付け足したように聞こえてしまうのが、悲しかった。
祐太は、私の目をじっと見て、ときどきカップに口をつけながら、私の言葉に耳を傾けていた。
「私、この間紗江子にも同じようなことで心配かけちゃって…ほんと、なにやってんだろ…」
「…紗江子ちゃん、なんて?」
「……」
「大丈夫だよ、怒ったりしてないから。紗江子ちゃんはなんて言ってたの」
「…本気にならないほうがいいよ、って…」
私は、祐太の様子を窺うように、おそるおそる言った。
でも、祐太の表情からは、なにも読み取ることができなかった。