Je t'aime?
「いつ?」
紗江子が聞いた。
「8月21日」
私は、ガミくんの家の壁にかけてあるカレンダーを見た。
金曜日。
「…夏休みが終わる直前までいるんじゃないんだね」
息が詰まりそうになりながら、私は言った。
「9月から、学校があるから」
と言ったときのウジェーヌの目は、さみしそうだった。
「ふぅん、さみしくなるね」
「紗江子、ほんとにそう思ってるの?」
「思ってるよ、失礼な」
「やけに棒読みだぞ」
「しんみりするのがイヤなだけ。永遠の別れじゃないんだしね」
「…そりゃあそうだけど…」
でも、フランスなんて簡単に行ける距離じゃない。
ウジェーヌだって、また来るって言ってるけど、いつのことになるのやら…。
そう思うと、永遠の別れにも近い感覚が襲ってくるのは、仕方ないことのように思えた。