Je t'aime?



「そっか…ウジェーヌ、ちゃんと帰る準備も進めてたんだね」



しんみりを嫌う紗江子の思惑とは裏腹に、心の底からしんみりしてしまう。



「レイナ、また会えるよ」



ウジェーヌが、やさしく言ってくれた。



「そうだよね、絶対会おうね」



今日フランスに帰るのかよ、とガミくんが突っ込むくらい、私とウジェーヌは別れを惜しんだ。



そうこうしていると、



「みんな、ちょっと休憩しなさーい」



と、ガミくんのお母さんがリビングにやってきた。



大きなお皿の上に、三角にカットされたすいかが見える。



すると、ウジェーヌがすっと立ち上がって、おばさんの手からお皿を受け取った。



「すいか、ありがとう」



…満面の笑みだった。



つい今しがた、涙目で再会を誓っていたとは思えないほどの、満面の笑みだった…。




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