Je t'aime?



その日の帰り道。



私も紗江子も、すいかを食べすぎて、お腹がタプタプしていた。



「はぁ~、とうとうウジェーヌの帰国話が出ちゃった」



私がため息混じりに言うと、紗江子が心配そうに、



「平気?」



と覗き込んできた。



すでに額がうっすら汗ばんでいる。



「平気。帰ることはわかってたしね」







―あれから、私は考えた。



祐太と別れる勇気がないなら、ウジェーヌに今以上の感情は抱いちゃいけない。



本当の気持ちがどうであろうとも。



「残りの日々、いい思い出をたくさん作ろうね!」



本当は全然平気なんかじゃなくて、巨大な岩でも飲み込んでしまったように、体が重い。



ひとりになったら、すぐにでも泣いてしまいそうだった。



紗江子は、そんな私の心境を知ってか知らずか、



「そうだね!とりあえず来週の富士山、思いっきり楽しもう!」



と、私のカラ元気に合わせてくれた。




< 170 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop