Je t'aime?
その日の帰り道。
私も紗江子も、すいかを食べすぎて、お腹がタプタプしていた。
「はぁ~、とうとうウジェーヌの帰国話が出ちゃった」
私がため息混じりに言うと、紗江子が心配そうに、
「平気?」
と覗き込んできた。
すでに額がうっすら汗ばんでいる。
「平気。帰ることはわかってたしね」
―あれから、私は考えた。
祐太と別れる勇気がないなら、ウジェーヌに今以上の感情は抱いちゃいけない。
本当の気持ちがどうであろうとも。
「残りの日々、いい思い出をたくさん作ろうね!」
本当は全然平気なんかじゃなくて、巨大な岩でも飲み込んでしまったように、体が重い。
ひとりになったら、すぐにでも泣いてしまいそうだった。
紗江子は、そんな私の心境を知ってか知らずか、
「そうだね!とりあえず来週の富士山、思いっきり楽しもう!」
と、私のカラ元気に合わせてくれた。