Je t'aime?
戻ってみると、その小さな部屋に、一組の老夫婦がいた。
いつの間に…。
私とウジェーヌは、夫婦の邪魔にならないように、静かに部屋に入った。
老夫婦は、静かにゆっくりと絵を見ていた。
ふたりともとても穏やかな表情で、手をつないでいる。
私はそれを見て、心が洗われる思いがした。
素敵だなぁ、と思った。
私もいつか、あんなふうに旦那様と手をつないで歩けるような歳のとり方をしたい。
そのとき、私の隣にいるのは…誰だろう。
私は、チラリと隣を見上げた。
「…ないだろうな…」
思わずポロリとこぼれた。
「え、なに?」
「なんでもないよ」
…まあ、そんな先のことはわからないけど。
だけど今だけは、ウジェーヌとの時間を楽しもう。
ごめんね、祐太。
私は心の中で、そっと謝った。