Je t'aime?




美術館前でバスを降りて、体感温度を最初に来たときと比較する。



なるほど、たしかに過ごしやすくなっている気がした。



「こっちだよ」



とガミくんが案内してくれたのは、美術館のもっと奥のほうだった。



いくつか建物を通過して、木が生い茂る中を入っていくと、正面によく知らない人の歌碑が建っていた。



そして、そこを抜けると、河口湖が目の前に。



さらにその向こうには、富士山がそびえ立っていた。







圧倒的な迫力―







周りの山々が、ちっぽけに見えてしまうほどだった。



息を呑む。



もう、湖の存在も目に入らなくなった。



出てくる言葉は、



「…すごい」



それだけ。



どんな褒め言葉をもってしても足りない、その堂々とした姿は、



「ああ、日本人でよかった」



と思わせてくれた。




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