Je t'aime?
天気は雨。
まるで私の心模様。
「どのへんで降ろす?」
「どこでもいいよ~…」
「適当だな、おい」
私は今、祐太の車の助手席にいる。
この日も代休だった祐太が、空港まで乗せてきてくれたのだ。
後部座席には紗江子がいて、明らかにテンションの低い私にかわり、祐太に話しかけまくっていた。
「祐太さんがお休みで、すごい助かりました~。空港まで来るの、けっこう大変なんですよね」
「これくらいで良ければ、いつでも」
「きゃーかっこいい!怜奈、うらやましい~」
後ろから、頭を小突かれた。
「そういえば紗江子ちゃん、ガミくんとうまくいったんだってね」
「きゃーやだー!そんなことまで聞いたんですかぁ?」
…そんなことまでって言うほどのことじゃないじゃん…。
いちいち『きゃー』って、うるさいし…。
私は、ずっと窓の外を見たまま、ぼんやりしていた。
「もう~怜奈!元気出してよ!」
紗江子が後ろから手を回して、私の肩をガクガク揺さぶる。
…なに、このテンション。
元気出るわけないっつーの。