Je t'aime?



天気は雨。



まるで私の心模様。



「どのへんで降ろす?」



「どこでもいいよ~…」



「適当だな、おい」



私は今、祐太の車の助手席にいる。



この日も代休だった祐太が、空港まで乗せてきてくれたのだ。



後部座席には紗江子がいて、明らかにテンションの低い私にかわり、祐太に話しかけまくっていた。



「祐太さんがお休みで、すごい助かりました~。空港まで来るの、けっこう大変なんですよね」



「これくらいで良ければ、いつでも」



「きゃーかっこいい!怜奈、うらやましい~」



後ろから、頭を小突かれた。



「そういえば紗江子ちゃん、ガミくんとうまくいったんだってね」



「きゃーやだー!そんなことまで聞いたんですかぁ?」



…そんなことまでって言うほどのことじゃないじゃん…。



いちいち『きゃー』って、うるさいし…。



私は、ずっと窓の外を見たまま、ぼんやりしていた。



「もう~怜奈!元気出してよ!」



紗江子が後ろから手を回して、私の肩をガクガク揺さぶる。



…なに、このテンション。



元気出るわけないっつーの。




< 223 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop