Je t'aime?
「あ!あれウジェーヌじゃない?」
大勢の人でごった返す空港ロビー。
その中でも、背の高いウジェーヌは、見つけやすかった。
「ほんとー?後ろ姿じゃわかんないよ」
紗江子が背伸びをした。
「大丈夫、絶対そうだから。早く行こ!」
私には、ちゃんとわかる。
あの日、富士山を背景に、ウジェーヌの後ろ姿を眺めていたから。
「待ってよ、怜奈。違うかもよー」
紗江子は早足になる私を引き止めて、ガミくんに電話をした。
すると、私がウジェーヌだと言った人のあたりから、手を振るガミくんが見えた。
「ほーらね、そうだったでしょ」
「ほんとだー、すごいね」
私たちは、人ごみを掻き分けて、彼らの元へ急いだ。