Je t'aime?
ウジェーヌは、Tシャツに短パンという、ラフな格好をしていた。
今から半日近くを飛行機の狭い座席で過ごすというから、大変だ。
「レイナ、サエコ、来てくれてありがとう」
今日のウジェーヌは、どこか雰囲気が違った。
なんというか、憂いがあるというか。
その悲しげな微笑みを浮かべた表情を見ていると、私は早くも胸が締め付けられるような思いになった。
「ウジェーヌ~、元気でね」
紗江子が手を差し出す。
ウジェーヌは、紗江子の手を握って、
「サエコ、ガミと仲良くね」
と言った。
えへへ、と照れくさそうに笑う紗江子の横で、ガミくんも同じように笑っていた。
紗江子はもともとガミくんのお母さんとも気が合っていた。
だから付き合うことを報告したとき、歓迎してもらえてうれしかった、と喜んでいた。
「だからって、私のことほったらかしにしないでよ」
と釘をさすと、ふたりとも、
「そんな心配はいらないよ」
と口をそろえて言ってくれて、私もうれしかった。