Je t'aime?
☆
ウジェーヌは、握った手をなかなか離してくれなかった。
私も、離そうとはしなかった。
今にも涙がこぼれ落ちそうで、でも泣いちゃいけないと思ったから、下を向いて、唇をかんでこらえた。
ガミくんのご両親も、ガミくんも紗江子も、なにも言わなかった。
空港のアナウンスが、もう時間だと告げる。
ウジェーヌの手が、ちょっと緩んだ。
ああ、本当にお別れなんだ…―
今になって、やっと実感がわいた。
ウジェーヌが一歩私に近づいて、私の頭のてっぺんのあたりに、彼の顔があるのが気配でわかった。
「レイナ、さようなら」
と小さな声が聞こえた。
でも私は、涙が落ちないようにするのに精一杯で、なにも言えなかった。
心の準備はしてきたはずなのに、突然訪れた別れのような気がしてならなかった。
心の中で、本当に行っちゃうんだ、いやだ、いやだ、とずっと繰り返した。
黙ったまま、ときどき鼻をすする私に覆いかぶさるくらいの距離まで、ウジェーヌが体を近づける。
短パンのポケットから、おそろいのストラップがのぞいていた。
それからウジェーヌは、私の耳元まで顔を近づけて、今まででいちばん優しい声で、こう囁いた。
ウジェーヌは、握った手をなかなか離してくれなかった。
私も、離そうとはしなかった。
今にも涙がこぼれ落ちそうで、でも泣いちゃいけないと思ったから、下を向いて、唇をかんでこらえた。
ガミくんのご両親も、ガミくんも紗江子も、なにも言わなかった。
空港のアナウンスが、もう時間だと告げる。
ウジェーヌの手が、ちょっと緩んだ。
ああ、本当にお別れなんだ…―
今になって、やっと実感がわいた。
ウジェーヌが一歩私に近づいて、私の頭のてっぺんのあたりに、彼の顔があるのが気配でわかった。
「レイナ、さようなら」
と小さな声が聞こえた。
でも私は、涙が落ちないようにするのに精一杯で、なにも言えなかった。
心の準備はしてきたはずなのに、突然訪れた別れのような気がしてならなかった。
心の中で、本当に行っちゃうんだ、いやだ、いやだ、とずっと繰り返した。
黙ったまま、ときどき鼻をすする私に覆いかぶさるくらいの距離まで、ウジェーヌが体を近づける。
短パンのポケットから、おそろいのストラップがのぞいていた。
それからウジェーヌは、私の耳元まで顔を近づけて、今まででいちばん優しい声で、こう囁いた。