Je t'aime?
送ってもらった駅から代官山まで、乗り換えなしで行けたのが幸いして、思っていたよりも早く到着した。
さっきと同じように走って改札を抜けると、すぐに祐太の姿が見えた。
「祐太!」
「遅い」
祐太は怒っている感じではなかったけど、腕を組んで仁王立ちで私を見ていた。
「ごめ~ん」
「仕事で疲れておる彼氏をこんなに待たせる事情とは、一体なんだ」
同じ体勢のまま私を見下ろして、やたら仰々しい口調だ。
でももちろん、遅刻した身としては、なにも言えない。
「…あのぅ、紗江子がね、ウジェーヌの歓迎会をやろうって言い出しまして…。それで、ガミくんの家に行ってまして…」
「ウジェーヌ?」
心なしか、祐太の表情が曇った気がした。
「話したでしょ?留学生の…」
「ああ、ウジェーヌっていうの?」
「そう」
「ずいぶん親しいんだね。まだ昨日来たばっかりなんでしょ」
…やっぱり機嫌が悪くなってる。