Je t'aime?
どういう風の吹き回しか、ガミくんが親切にも、みんなの分を買ってきてくれると言った。
ところが、
「珍し~」
と紗江子がガミくんの後姿に言ったとたん、ガミくんがくるっと振り向いて引き返してきた。
珍しいなんて言われて、気を悪くしたのか…?
と思ったのもつかの間、ガミくんは、
「やっぱ、駅前の店でも行こうぜ」
と言った。
その、いかにも暑さにうんざりしたような顔を見て、ウジェーヌが笑っている。
「なんなのよ、ぬか喜びさせて」
紗江子は汗を拭いながら、ガミくんを睨みつけていた。
「だって練習する気ないんなら、学校にいても意味ねーし」
…たしかに。
音楽室を出たときに、私たちは、楽器を丁寧に片付けてきてしまった。
…こんな暑い中、練習なんてできない―
というのが、本音。
中庭で楽しくおしゃべりでもしようと思ったけど、この暑さでは、焼肉になってしまいそうだった。