Je t'aime?
「ウジェーヌ!」
一瞬、なにが起こったかわからなかった。
目の前で人が倒れるなんて、初めてだったから。
ずっと彼を気にしていた女子高生たちも、キャア、と小さな悲鳴をあげた。
どうしよう、どうしよう。
やっぱり具合が悪かったんだ。
私は、倒れ込んだウジェーヌが頭を打たないように、両腕で抱えるようにして支えた。
ガミくんは、名前を呼びながら体を揺すっている。
紗江子は、店のカウンターのほうに走っていった。
「ガミくん、どうしよう」
私は心臓がバクバクいって、完全にパニくってしまった。
このまま意識が戻らなかったらどうしよう、とか縁起でもないことばかりが頭に浮かぶ。
「貧血かなぁ。たいしたことないといいけど」
ガミくんは、驚くほど冷静だ。
やがて紗江子が、男性を連れて戻ってきた。