Je t'aime?
「おー、ウジェーヌ!復活したか?」
やたらと大きな声で、ガミくんが入ってきた。
「ちょっと、今目が覚めたばっかりなんだから、静かにしてあげてよ」
「わりーわりー」
へへ、と頭をかくガミくんの後ろから、紗江子も薬局の袋をぶら下げて戻ってきた。
「遅くなってごめん。外めっちゃ暑いよ~」
そして、冷却ジェルシートの箱を袋から出して、早速ウジェーヌに渡した。
「…なんですか、これ」
「ん?それ、おでこに貼って冷やしたほうがいいと思って」
「おでこに…?」
反応が微妙だ。
私は、もしかして、と思って聞いてみた。
「ウジェーヌ、それ、フランスにはないの?」
ウジェーヌは、箱をまじまじ見ながら、う~ん、と言っている。
「あるかもしれません。でも、使ったことありません」
「へぇー」
三人の声がかぶった。
日本ではもう日常的に使われているけど、外国ではそうでもないのかな。
それとも、ウジェーヌが熱を出さないだけかな。
もの珍しそうにジェルシートを見るウジェーヌは、子供みたいでかわいかった。