Je t'aime?
―…自己嫌悪。
私は、自分が情けなくて下を向いたまま、黙った。
ほんの数秒、そうしていると、
「怜奈の言うとおりかもね」
と、しばらく黙っていた紗江子が、腕を組んで、頷いた。
「私たちの気遣いが足りなかったと思う。ね、ガミくん!」
わざと明るい声でそう言って、ガミくんの背中を力いっぱい叩いた。
静かな部屋に、バンッ!と大きな音が響いた。
「いっっって~!」
まるで大太鼓のようないい音がして、私の苛立ちまで打ち消してくれるようだった。
「…っ、お前ほんと馬鹿力だな…」
いつまでも痛がるガミくんを見て、みんなで声をたてて笑った。
「おっ、目が覚めたか」
突然声がしたので振り返ると、店長さんがドアを少し開けて、のぞいていた。
「うるさかったですか、すいません」
すかさず、しっかり者の紗江子が言った。
「いや、うるさくはないけど…ていうか、なにしてんの」
「え?」
店長さんは、自分の額に人差し指をちょん、と当てた。
一瞬の間が空いて、部屋はまた笑い声に包まれた。