Je t'aime?




ガミくんのお母さんが迎えに来るまで、ウジェーヌはまたソファに横になっていた。



でもさっきまでとは違って、もう目もウツロじゃない。



大事に至らなくて、本当によかった。



「ウジェーヌ、ごめんな」



「あやまらなくて、いいよ」



…ん?



「私のマネ?」



「ふふ、そうです」



…そんなふうに、いたずらっぽく言われたら、なにも言えないじゃないよ。



「どうでもいいけど、ウジェーヌ、また敬語に戻ってるよ」



私は、照れ隠しに、そっぽを向いて言った。



ウジェーヌは、歓迎会の夜、きちんと「タメ口」の意味を持参の辞書で調べていた。



でもさすがにそんな言葉は載っていなくて、結局ガミくんに意味を聞いたと言っていた。



それからは敬語を使わずに会話できていたのに。



「あー、忘れていました」



「忘れ…」



それって、意識してないと敬語になっちゃうってこと?



そんなに遠い存在なのかと思うと、ちょっと寂しくなった。




< 70 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop