Je t'aime?



お昼休み、お弁当も食べ終わって、いつものように紗江子とバカ笑いをしていると、



「ねえ、怜奈」



とクラスの子に話しかけられた。



「あ」



今朝、ウジェーヌを取り巻いていた女の子のひとりだ。



「どうしたの?」



その子は、近くの椅子を引き寄せて、向かい合う私と紗江子の横に座った。



それから身を乗り出して、声をひそめて、こう言った。



「怜奈、ウジェーヌくんと付き合ってるの?」



私と紗江子は、同時に吹き出した。



「つ、つき、…ええ?そんなわけないじゃん」



「でもさ~、朝だって彼、怜奈を見たとたんに行っちゃったし」



「いや、それは…」



と、私が弁解するより先に、紗江子が女の子にぐっと顔を近づけて、



「怜奈は彼氏いるから」



と言った。



ちょうどそこで、昼休みの終わりを知らせる予鈴が鳴って、女の子は、



「なんだ、スクープゲットかと思ったのに」



と残念そうに、仲間の輪に戻った。




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