Je t'aime?



それから一週間。



それまでの毎日、休み時間になると留学生の話題でもちきりだった。



とくに女子。



「あ~早く会いた~い!」



そう。



留学生は、男子なんだって!



彼は、今日の午後から来るらしい。



お昼の時間になると、お腹すいてるんだけど、なんかそれどころじゃない。



私だけじゃなくて、みんな、そう。



ソワソワ、キョロキョロ。



午後の授業で紹介するって先生が言ってたし、まだ来るわけないのに、ついつい教室の扉を見ちゃう。



「ねえ紗江子、フランス語で『こんにちは』って、ボンジュール?」



「そうだけど…なに、怜奈。さっそく話しかけちゃうの?」



「ちっ!ちがうよ!フランスのこと考えてたら、気になっただけ!」



紗江子はお弁当のから揚げをパクッと食べて、へぇ~とからかうように言った。



私、今、きっと耳まで赤い。



まだ会ってもいない人のことを考えただけで。



バッカみたい。




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