手紙
葵の気持ち・花音の気持ち
そんなことを考えているうちに、九月も終わりに近付いてきた。
花音に本当の気持ちを言えないまま、この一ヶ月を過ごしてしまった。
学校について下駄箱を見ると、手紙が置いてあった。
「トキくんだ……」
いつもなら嬉しいけど、最近はもやもやした気持ちのまま過ごしていて、複雑だ。
教室で読もうと思い、その手紙を持ったまま教室へ向かった。
「……あれ?花音?」
教室には、珍しく花音が先にいた。
あたしはいつも通りの時間……。
「あ、おはよ葵」
「おはよう。今日早くない?」
考えてみれば、花音があたしより早く来たなんて初めてだ。
今までは下駄箱で一緒になるか、あたしより後だったから。