手紙


「だって、二回目のチャンスだよ?風邪こじらせて苦しんでる翼のところに、葵がいきなり“翼……”なんて呼んだら、体温急上昇してすぐに治るって」

「あ、ありえない!!」


まず、風邪がそんなことで治ったら苦労しないと思います!


「モノは試し。今日言ってみなよ。絶対葵がそうに呼ぶこと、翼待ってるから」


……待って……くれてるのかな……?

でも、言い始めたのは翼くんからなんだよね。


だったら、嫌がるってことはないはず……だよね?


「……場合によるからねっ!」


そういいつつも、どうやって言うかを後の授業で考えていたりした。


「そういえば、あたしも聞きたいことあったんだけど……」

「なに?」

「……花音は、翼くんのこと、どうに思ってるの……?」


一応……聞いてみることにしたんだ。


放課後の帰り道、二人しかいない道路で妙に自分の声が響く気がした。
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