手紙
「ずっと話してたから、すっかり覚えちゃってさ。だから入学式のときに名前聞いて、すごく驚いた。しかも自分のクラスにいたしね」
「部屋に入って開口一番に、葵ちゃんがいるって言われて、信じられなくて涙が出た。つながりが持てたって、すごく喜んでたんだ」
その日は、なにも知らずに過ごしていた。
柚縷ちゃんのことも知らないで、ただ逃げてきただけで……。
「会いに来てくれるように頼むか聞かれて、迷ったんだ」
……これは、あたしの言葉のせいのことなんだ……。
もう会うことはない、あきらめてしまった自分の言葉が、柚縷ちゃんを引きとめてしまったんだ。
「翼はそうに言ってくれたけど、少し怖かった。最後の言葉が、どうしても自分を止めていた」
すぐに会えなかった理由……。
「本当に来てくれるのか、もし忘れられていたら……。そうに思うといろいろな不安が押し寄せてきた。だから、手紙を書こうと思った」
それが手紙の始まるきっかけ……?