手紙


「自分を知ってほしいけど、知られるのが怖い。近くにいるって知らせたかったけど、拒否されることが怖かったんだ。だったら葵ちゃんに僕を見つけてもらおう。そう思って……」


その結果、まるでホラーのような展開になったのね……。


『僕を探して』


いきさつがわかればまだ納得できたけど、いきなり下駄箱の中に手紙が入ってて、しかも誰からか分からないのにあたしの名前は書いてあって、でも学校の中に同じ中学だった人は、いるはずがなくて……。

しかも内容だってその五文字しか書いてなかったから、存在しないものを探すのかと思ってびっくりしたよ。


「会いたい、怖い、会いたい……自分がどうしたいのかもわからなくなって、それしか書けなかった。あの言葉が僕の精一杯だったんだ」

「アレを見た時は目を疑ったね。絶対いたずらだって思われると思った」

「実際、花音がそれを思ってたからね」


……あれ?

なんか二人とも固まった……?


「花音、この手紙読んだの……?」

「……え?あ、うん。この手紙のおかげで花音と話すようになったから」
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