手紙
「でも、花音は結構早いうちにわかったみたいだよね?」
「いつだったっけ?梅雨より前だっけ……?」
……ずぶぬれ花音の記憶が蘇る……。
「絶対六月より前だね」
あの濡れ方は半端なかった。
思いっきり雨がぶつかって来たんだなって、すごく伝わってきた。
「そうだ、あたし花音の家に行かなきゃなんだ」
柚縷ちゃんと話した後話聞かせてって言われたから。
「もう行く?」
「うん、行っとく。翼は?」
「もう少し柚縷と話してる」
「そっか」
毎日毎日、ご苦労様です。
そんな優しい翼も好きだよ。
あたしはかばんを持って柚縷ちゃんの家を後にした。