手紙


南校舎の屋上へ急いだ。

いつも教室に来るのが遅いから、急がなくてもそこから動く可能性は少ないと思ったのに、勝手に急いでしまう足。

早く、翼に会いたいんだ。


ガチャ...


屋上についてその重い扉を開くと、涼しい風が通り抜けた。


だんだん冬に近付いていることを知らせる朝はちょっぴり肌寒い。


そして、二人の目が合う。


「……翼」

「……葵……?なんで……」


すごくびっくりしている様子の翼は、いったんその手を止めた。


「ごめんね、あっちの校舎から翼が見えて……」


そう言って北校舎を指差した。


「ううん、別に大丈夫なんだけど……」
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