手紙
「そうだったんだ……」
そう言った翼の隣にあるものに目が行った。
「……紙?」
「え?あ……うん」
画用紙……?
向きからして何かが描いてあるのしかわからないけど、もしかして……?
「それ、風景だったりする……?」
だって、翼の向いていた方向には、綺麗な朝日と真っ白の雲が芸術を描いていたから。
「……恥ずかしくて、今まで言わなかったんだ。花音にも」
「それを描くために、今までずっと早く来てたの?」
「花音にばれないように、朝だけ早く来てた」
「花音は中学の時から翼が朝早く来てたこと、知ってたよ?」
まさかの表情をされて、あたしも困った。
なんで知ってるの?って表情。
「高校ならまだわかる。柚縷の手紙を届けていたっていう理由があるから。でも、何で中学の時から知ってるんだ?」
花音の情報は一体どこから仕入れてくるのか、謎だ。