手紙
「それ、あたし花音から聞いたことあったよ」
「……え?」
「だからその言葉、今でも花音は覚えてるよ」
「……そっか」
翼はやわらかく微笑んだ。
確か、翼はいつも一生懸命だったけど、どれも楽しくなさそうに見えたって思ったから言ったって言ってたよね?
だんだん思い出してきた。
「一体何を話してたの?」
「……青春について語ってた」
「……は?」
な、なんとも言いにくい内容だから、とりあえずそう言っておこう。
ふと、翼の絵を見てみると、その絵に見とれてしまった。
「いつも学校に早く来て、いろいろな景色を描いてる。うまい下手は関係なく、小さい頃から景色を描くことが好きだったんだ」
絵をじっと見てるあたしに話してくれた。