手紙
「ただ、話したかっただけなんだ」
話したかっただけ。
でもあの頃をよく思い出せないあたしには、前の話題は使えない……。
「手紙の書き主を見付けるのが花垣さんへの課題だったよね?」
「え?あ、うん」
「だから、次は俺からの課題」
そう言って微笑んだ。
その笑顔は優しくて、ほんの一瞬、なにかを思い出したような気がした。
「君の思い出を見付けて。俺との思い出」
それは、簡単そうで難しい課題。
でも、柚縷ちゃんよりはしっかりした課題。
「見付けたら、俺と話そう」
「……分かった」
手紙に続いて、新たな課題がまたひとつ。