手紙

思い出探し



放課後、あたしは花音に頼んで小学校に連れていってもらった。

ちなみにあたしはいつも電車通学だから、移動手段は徒歩しかない。

だから翼の自転車を借りて花音と一緒に小学校へ向かった。


あたしと柚縷ちゃんたちと過ごした、思い出の小学校……。

そこに子供たちの姿は見えなかった。


「……他の小学校と合併して、もうこの学校は使われてないんだ」

「……こんなに身近に少子化を感じるなんて思わなかったよ……」


まさか、もう使われていないなんて思わなかったあたしのショックは、大きかった。

夕日に照らされた切ない校舎。

あそこで毎日楽しく過ごしていたのに……。


「でもほら、葵がここで過ごしてきた時間は事実だし、ちゃんと大切な思い出は心に残ってるでしょ?」


その一言に、笑みがこぼれる。


「……そうだね」


なんだか寂しい小学校を後にして、次は家付近にある公園へ向かった。
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