手紙


公園に着くと、そこは五年前とは変わらず、砂場があって、滑り台があって、ブランコがあって……小さな公園だけど、思い出はいっぱい。

今も変わることなく子供たちに親しまれている。


「あ、あのブランコでよく柚縷ちゃんと遊んでたよ」


この景色を見るだけで思い出してくる。

まるで子供時代に戻ったみたいに……。


“ほら、ほんのちょっと空に近付くよ!”

“あ、危ないよ!!高すぎだよ、ほらガシャッていった!!落ちちゃう落ちちゃう!!”


ハラハラしながら大きくブランコを揺らす柚縷ちゃんを見てた。

いつか垂直になっちゃうんじゃないかって、本気で心配していた。


そんなの、あるはずのない夢のような話。

夢を抱いていたころの、純粋な頃の話。


“大丈夫だよ、葵ちゃん。楽しいよ”

“こ、怖いから……鎖切れちゃうよっ!!”


でも、本気で怖かったのは事実。
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