手紙


次はあたしが住んでいた家。

その家に着くと、小学校低学年くらいの男の子が、小型犬と遊んでいた。

……ペットかな……?


「あの子、楽しそうだね」

「……幸せそうで、よかった……」


前に住んでいた家は、立派にその役目を果たしていた。


……安心した……。


「葵ちゃん……?」


突然かけられた声に振り返ってみると、二十代後半くらいのお姉さんがいた。

その顔に、見覚えがあった。


「……梅乃お姉ちゃん……?」

「やっぱり、葵ちゃんか。久しぶりだね」


梅乃(うめの)お姉ちゃんは、あたしが物心つく前から遊んでくれていた近所のお姉さん。


すごく優しかった覚えがある。
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