手紙


進行方向を向いたまま言う彼の声は、少しさみしそうで……。


「葵、ごめん」

「……翼、ズルい」


そんな声で言ったら、女の子の気持ちがコロッと変わっちゃうに決まってるでしょ。


「……大好き」


その言葉にも、クラッとくる。


「……もう!」


きっとあたしの顔はまた真っ赤。

翼、絶対分かってやってる。


あたしだって、あたしだって……。


「……あたしだって、大好きなんだから……」


この想いは本物で、好きの気持ちは止められない。


それが恋ってものだから。

どんなに怒っても、この気持ちは変わらないから……。


だから、そんな心配そうな眼差しを向けないで……。
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