手紙
「え?秋?」
「夏休みを挟んでから秋になるでしょ?なんとなく、話しやすくなったんだよね」
「それからずっと?」
「ずっと。登校班は一緒だし、もちろん方向も一緒だったから、朝から夕方までずっと一緒」
それからずっとか……。
「葵ちゃんは?幼なじみとかいないの?」
「え?あぁ、ウチの学校にはいない。あたしが行ってた中学からこの学校来た人はいないはずだから」
だってあたしは逃げてきたから...。
怖くて怖くて……逃げ出したから。
「ありがとう、翼くん」
「え?あ……」
「着いたから。またね」
「じゃあね」
思い出す記憶を閉じ込め、電車へと急いだ。