手紙


なんとなく動いているような気がする腕。

……というより、移動している腕。


……移動?


だんだん上に登って行ったその手は、あたしの髪に触れて、頭を優しくなでなでしてくる。

あぁ、幸せ……。


その手はふと動きを止めて、重みが消えた。

と思ったら、首に沿って髪が横にずらされて、隠れていた首すじが外の空気に直接触れて、冷たい。

まだ二月だもんね……。


……首すじ……?


そう考えた時にはもう遅くて、今度は首すじに温かいものが覆いかぶさったと同時に、あたしの腰に置いてある腕に力が入った。


……え?

なにが起きてるの……?


少しだけ強く抑えられている気がするけど、感触はやわらかい……。


そんなことを考えている間にそのやわらかいものが肌を吸ってきて、やっと理解した。

これ、翼の唇だ!!
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