手紙
もう、いきなり首?
キスは半分覚悟してきたのに、首はホント予想外で……心の準備もないまま……。
授業が始まるまでに、この赤はなくなるだろうか?
「葵、可愛い」
「……もう、いきなり……」
恥ずかしすぎて、ちょっぴり涙が出てきた。
翼はその涙をぬぐってくれるけど、その原因は翼なんだからね?
「葵の泣き虫さん」
「……今は、翼のせいだもん……」
「じゃ、俺が責任を持って、その涙を止めなきゃね」
潤んだ瞳は黒い影しか映さない。
いきなり唇に何かが当たって、その振動で涙が落ちた。
クリアな視界を見て分かった。
―本当の、キスだ―