手紙


「同じ日が当たり前じゃなかった……同じ日が……あぁ、うん」


いつの間にか、返事を返していた。

『いつも、違う日なんだよ』


「……葵意味分かんない。解説要求」

「え、解説?ん~……」


解説って言っても、手紙のやり取りをしてた時のことだから……その手紙全部を見せるわけにもいかないし……。


「同じ日が当たり前じゃないのはそれこそ当り前だし、いつも違う日だって当り前だよ」

「でも、毎日違った日常を送ってきてたのに、いきなり毎日ベット生活になった柚縷ちゃんにとっては、当たり前が出来なくなってるんだよ」

「……あ、そういう意味?」

「前と比べちゃうから、毎日同じに見えちゃうんだよ。変わるのは季節とか、時間とか、曜日とか……時々しかない天気。だから、花音がたまに行くだけでも変わるよ」


ちょっと赤くなった花音。


「柚縷ちゃんは刺激がなさ過ぎて、毎日退屈してるんだもん。だから花音、毎日来てほしいって思われるようになってね」


遠まわしに、好きになられてね……って言ったつもり。

伝わったかどうかは分からないけどね。
< 275 / 300 >

この作品をシェア

pagetop