手紙
あたしはその手紙を渡した。
それを見た瞬間、花音ちゃんが眉をひそめた。
「……トキ?」
「え?あ、名前?そうなの。やっと名前が分かったの」
それだけでもなぜか嬉しくて、にっこり笑って言った。
「……ネーミングセンス悪っ」
えぇっ!?
そこですか!?
「別にあたしはいいと思ったんだけど……」
「しかもあれだけ質問責めした返事がコレ?ヒドい」
「確かに名前だけっていうのは残念だけど、これから知っていくから。手紙を通して」
誰だかもわからない人と文通なんて不用心かも知れない。
でも、やってみたい。
その気持ちは変わらないから……。