手紙
数学を感覚で覚えるってことが出来るなら早いんだけど……。
生物だって日常にある名前を変えただけで、その用語さえ覚えられればあとは常識だけなのに。
他は翼くん分野だけどね。
そんなことを思っているうちに駅に着いて電車を降りた。
改札を出ると翼くんが壁に寄りかかっていた。
もしかして、あたしを待っててくれてた?
翼くんの視線がゆっくりと上がって、あたしと目が合った。
「あ、おはよう葵ちゃん」
「お、おはよう翼くん。そんなところで……」
「じゃ、行こうか」
やっぱり、あたしを待っててくれていたみたい。