手紙


「翼くんは?」

「アイツは時々怖いの。知ってるでしょ?あの鬼」


あぁ、ゴールデンウイークとテスト前のことね。


「愛のムチだよ」

「あれは絶対楽しんでるだけ」


お互いの顔を見て、二人で笑った。


「ごめん、手紙のこと。トキのこと」

「え?あ、あたしこそ、あの時はなにも考えられなくて……。でも、隠してた事を話すって、スゴく勇気が必要だと思う」

「……葵」

「だから、あたしからはありがとうなの」


その時、花音ちゃんが抱きついてきた。


「大好きだからね、葵」

「あたしも、花音ちゃん大好き」


そっと背中に手を回して、子供をあやすように背中をなでた。
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