手紙



そうだったんだ……。

あたし、まだまだ翼くんのこと知らない事だらけだ。


「夏休み前からテンション下げるのも嫌だしね。あたしたちで翼のテンション上げてあげようね、葵」

「そうだね、花音」


あの花音の衝撃の事実を知った時、翼くんは優しく導いてくれた。

自分だけじゃない。

人の気持ちも一緒に動いているってこと。

そのことに気付かせてくれた。


彼はそういうことを考えられる人。


「おかえり翼。どうだった?」

「花音、葵ちゃん。待たせちゃったね」


そんなに経たないうちに翼くんが帰ってきた。


「おかえり。帰ろっか、三人で」


あなたを意識しないようにする度に、あなたの魅力をどんどん知ってしまう。

恋は決して止めることはできない……。
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