第二ボタンと春の風


夢中で走ってた。

そうしたら思い切り転んだ。


手をのばすのが間に合わなくって、
顔からコンクリートに突っ込んだのだ。


擦りむいた膝や肘、
手の平、鼻の頭。

血がにじんで、
そこに塩辛い涙が染みた。


ピリピリとした痛みを伴う細かな傷は、
確実に私の涙を増やす。



全身ボロボロだった。

きっと心と同じように、

聞こえない悲鳴をあげている。


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